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シンガプーラ
このたびオオタファインアーツでは、グループ展『シンガプーラ』を開催します。サンスクリット語で「ライオンの町」を意味するシンガプーラ。シンガポールの国名の由来となるこの言葉を冠した今展覧会では、シンガポール作家5名の作品を紹介します。同国の出身でありながら年齢もメディウムも題材とする文化背景も違う5名のアーティストを通じ、シンガポールの持つ数奇な歴史、それによって育まれた文化の多様性、そして国家の変容を読み解きます。
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Liao Jiekai
映像作家であるリャオ・ジエカイ(1984年生れ)は、祖母の葬儀中に撮影した動画を元に映像作品《Silent Light》を制作しました。16mmフィルムで撮影されたセピア色の画面にシンガポールの街並みが映し出されるこの作品では、年老いた一人の女性が自身の半生を回想します。記憶は1940年代シンガポールが日本の占領下にあった頃から始まり、マレーシアで共に育った中国の親戚の話や、海南島での日々、そして自身の死生観が、ゆっくりと諭すように語られます。このような多民族的な文化背景は今でもシンガポールの一般的な家族構成として存在しており、作品を通じてリャオはシンガポールの国としての独自性を問いかけます。
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今グループ展が作家個人や個々の作品、そしてシンガポールへの理解を深め、国家や歴史、文化や民族とは何なのかを考える機会を提供できれば幸いです。