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Luminous Bones, 2022, Acrylic, pastel, photoluminescent powder, wood panel 181.8 x 227.3 cm
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私が人物の肌を白いすべらかな表面で描き始めたのは近代美人画の影響が大きいです。キナリの地色に白いマットな色面と、グレーや淡い紅色の細い線で縁取られた手足の美しさ。その色彩感覚と、視ているだけで触覚が想起されるような質感。私はその絵にできる限り近づいて舐めるように鑑賞しました。その最初の視覚体験が私の美意識にくっきりと焼き付いているのだと思います。私は私の思う「美しい人」(実在の人物)を見るのが好きですが、私が描くような人物は生身の人間には存在しません。私の描く人物の美は、実在の人物を再現しようとした結果ではなく、絵画的な美(それを再現しようとすること)から始まっています。基本的には「あの美しい美人画への慣れ」から始まっていますので、肌色の明度を高めに置きつつ、地色や背景のモチーフ由来の色に対してある程度の振れ幅をもって肌の色みのバランスを取ることになります。自画像であろうとする意識的な変化が具体的な実践を伴った場合、絵画全体の色調に大きな変化をもたらすことになります。黄みの濃い肌色の固定はつまり色彩構成への縛りです。黄みの濃い肌色は、キナリ色の下地や私が好んで描く木調の色合いに近づくので、下地や背景をその黄みの濃い肌色に合うような色に変えたりモチーフそのものを変えたりする必要が出てきます。 けれども、画中の人物と私の心理的距離が離れ過ぎるくらいなら、私はそのような変化も厭わないでいたいと思います。憧れや模倣からの脱却と、自らの美意識に忠実であることのせめぎ合いの中で私の絵は変化します。また、急にズボンを描けるようになったように、今まで描きたくなかったものが急に描けるようになるかもしれません。あるいは、人間味を排除する向きをさらに極端にすることで逆に自分との心理的距離感を詰める方法もあるかも知れません。
私が画中の人物を手放してしまわない限り、絵は私に呼応して変化してくれるものと思います。描かれる人物を「自分とは違うもの」として放棄しないこと、自画像であろうとすること、描いたものを好ましく思うこと、それらの糸の張り合いが重要です。私は常にそのように絵画と一部において一体でありたいと考えています。
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