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テレビの密着番組や特集ものがバックヤードを好むのは、普段は見えない日常を見せることにその目的がある。これをテクノロジーに置き換えると「インフラ」になるが、そこには独自の美学があると私は主張してきた(6)。
だがこうしたバックヤード/インフラは、アーティストにとってはある種の鬼門でもある。それはインスピレーションの源であると同時に、その独自の雰囲気だけで、観客が満足してしまうこともあるからだ。「インフラ美学的」にいえば、都市に映えるガスタンクのキュービズムに、余計な装飾はいらない。越後妻有-大地の芸術祭を見学のため、嫁さんと山奥を車で疾走し、様々なアート作品を鑑賞したことがあるが、最後に彼女に感想をきくと、「里山がよかった」という。緑深い森に負けているのだ。
特定の場所(サイト)には独自の歴史があり、一部の建築家はそれを「ゲニウス・ロキ(土地霊)」と呼んで建築思想に反映させようとした。またジャワ語でdedemitといえば「場所霊」の意味で、特定の場所に住まう悪霊を意味し、人を原因不明の病気にしたりする(7)。歴史をもつ場所はそれだけの力があるから、サイトの力を生かすには、同時にその魔力に抗する胆力も必要なのである。2018年光州ビネンナーレの舞台になった軍の病院の廃墟や、歴史的建造物の様な場合と、美術館のホワイトキューブでは、そこに住まう場所霊の形、またそれに抗う胆力の性質も異なるだろう。 -
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梅田哲也
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2022年10月29日-12月17日
12:00-18:00
定休日:月曜、日曜、祝日
Ota Fine Arts, Tokyo