Assistants: チョン・ユギョン、奥誠之、リリィ・シュウ、山井隆介

Overview

オオタファインアーツでは、2002年以来となるアルバイトスタッフによるグループ展を開催します。《アシスタント》として集うこととなった4人の作家の卵が、日々画廊で体験している現代美術の最前線をどう消化しているのか。それぞれに大きく異なるバックグラウンドと作風を持つ彼らの作品がどのように時代を反映しているのか。彼らを通して現代美術シーンの"これから"が見えてくるかもしれません。

在日3世で朝鮮学校出身のチョン・ユギョンは、自身の立場から見ても可笑しいと感じてしまう北朝鮮のプロパガンダポスターをポップなドットを使って描きます。距離を置いて見ないとモチーフの輪郭線がつかめないペインティングには、チョンの立ち位置の難しさを見ることができます。

祖父が創業し父が働く会社が1964年に引き続き2020年東京オリンピックにも関わるかもしれない奥誠之は、国立競技場をモチーフにしたインスタレーション作品を展示します。国家行事としてのオリンピックと自身の思い出としてのオリンピック。その間にある思いを個人的な立場から表現します。

中国・ハルピン出身のリリィ・シュウは、母や自分の部屋を撮影しています。その作品には、8年間祖国を離れてひとりで暮らす過程で生じた、親密であるはずの家族や思い出に対する隔たりが感じ取れます。シュウの写真は、自身にとってごく近い存在を対象物と捉える試みと言えるでしょう。

山井隆介は、ファックス、コピー、スキャナー等の複写機を利用してプリントのような作品を制作します。意図的に工業製品を本来の動作から逸脱させ、それを何度も繰り返すことで支持体にエラーや事故をイメージとして定着させる手法には、インダストリアル・ミュージックの影響が強く表れています。

まだまだ経験も浅く青い彼らですが、方位を取りづらい時空のなかでも根を張ろうとするしたたかさを秘めています。そんな20代作家の控えめな野望にあふれる今展を、ぜひご高覧ください。

Works
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