Landscapes & Paradise: Poolscapes: ヒルミ・ジョハンディ

Overview

シンガポール作家 ヒルミ・ジョハンディの日本初個展

 

オンライン・ビューイング・ルームもあわせてお楽しみください。

イン・ザ・スタジオ: ヒルミ・ジョハンディ

 


 

開廊時間: 12:00-18:00

オオタファインアーツでは、シンガポール作家ヒルミ・ジョハンディの個展『Landscapes and Paradise: Poolscapes』を開催します。日本における初の個展となる今展では、7点の新作ペインティングの他、昨年発表した立体作品2点を展示します。

 ヒルミはしばしばシンガポールに残るアーカイブ資料からインスピレーションを得ます。見慣れたモチーフを抽出し、その様々な要素をペインティングの上で再構築する。そうして作品を制作するヒルミが近年注目しているのは、1980年代から90年代にかけて作られたポストカードやポスターです。当時それらの画像がどのようにシンガポールを熱帯の楽園、または理想の観光地として描写したか、ヒルミの関心はそこへ向います。今展でヒルミは、多くの画像で贅沢や快楽を示唆するモチーフとして登場するスイミングプールの描写を追求し、時にノスタルジックに、時に風変りに、ターコイズブルーで彩られたそのフォルムをさまざまな視点から描きます。

 また、舞台芸術の技術的な側面を指す「劇作法」にコラージュやイメージ作成のプロセスとの類似点を見出したヒルミは、舞台装置を組み立てるかのように、アーカイブ画像から得たモチーフをペインティングへと構築してゆきます。よく見ると、描かれている人物や植物は舞台の小道具、風景や建物は背景幕や張り子であるかのようです。さらに、スケール感や空間の隔てに手を加えることで作品の中に現れる複数の「面」は、時空間の歪みを示唆します。それは見馴れた象徴的なモチーフに思いがけない新鮮な視点をもたらすと同時に、ここに描かれたシーンは現実ではなく想像上のもの、もしくは舞台の物語の一部なのではないかという疑念を観る者に抱かせます。

 家族との、または恋人との楽しく美しい思い出とも結びつく観光地のイメージ。誰もが抱く理想的なイメージが社会や歴史の思惑のなかで意図的に「作られた」ものであることを、私たちはどこかで気付いています。その漠然とした虚構性を、絵画という実体を伴う虚構のうえに演劇的手法で見事に表現したヒルミの作品を、どうぞご高覧ください。

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