おんなのからだのつかいかた: シューリー・チェン、エルネスト・プジョール、ルル・ホウ、フロッグ、BuBu+嶋田

Overview

オオタファインアーツの3月の展覧会はフェミニスト、嶋田美子の発案によるアイデンティティのグレイ・ゾーンをあつかう「おんなのからだのつかいかた」展を開催いたします。
現在、バッククラッシュを受けている90年代初頭までのアイデンティティ・ポリティクスはマイノリティの集団である「われわれ」対マジョリティの「彼ら」という世界観から成り立っていて、このような白か黒かという二分法では個人のアイデンティティの問題や重層性が置き去りになっています。 この落とし穴に対抗するためには、ひとりの人間の中にある重層的でハイブリッドなアイデンティティという定義を新たに作る必要があると仮定し、白と黒の間にいくつものグレイのグラデーションがあることを明確にしなければなりません。
この展覧会はジェンダー、セクシュアリティ、民族、文化のアイデンティティの多様性、流動性をテーマとしている女性アーティストの作品を集めました。 女性の体はアートの表象の中で長い間男性アーティストによって描かれ、また定義されてきました。 作家たちはそれに対抗する新たな「女性像」を作るのではなく、その定義そのものから身体を使って自由になることができるということを表明しています。 「体を張る」というのはここで非常に重要なことで、ポスト・モダニストの言うように理論上ではアイデンティティを脱ぎ捨てることは簡単です。 しかし私達はこの生物である体を持っている以上、それから完全に自由になる事はできないのかもしれません。 しかし同時に私達は生物学な身体の奴隷でいることはできません。 女の体を使って女は何ができるのか、身体性を引きずりながら私達はどこまで自由になれるのか、それを見る人と考えていく展覧会です。