竹川宣彰: 竹川 宣彰
オオタファインアーツは、六本木へ移転後第3弾となる展覧会「竹川宣彰展」を開催します。
このたびの東日本大震災および、それに連鎖する福島第一原発事故は、この列島に住むわたしたちに等しく強い衝撃を与え、各自の風景をあっけなく変えてしまいました。 作家たちへの影響も、ご承知のとおりそれぞれです。ある者はボランティアのため被災地へ、またある者は自作をチャリティに提供し復興に向かって美術家が現実的な力になろうとしています。
かねてより思考の視覚化を試みる美術家である竹川宣彰は、私たちが依拠する文明と自然との関係、あるいは、あるべき在り様を宙づりにすることでディレンマを回避すべくこの未曽有の事態に対峙しようとしています。
展覧会はリサイクルの牛乳パックで作られた大きな牛の彫刻を中心に、カラフルな5点のドローイングを加えて展開、構成されます。 そこには持続と再生が可能なもの、原子のレベルと私たちの生活のサイズ、人間が作った環境と自然が福島の乳牛を軸に描かれており、それらはちょうど私たちが目にしている今日の風景画でもあります。 これらドローイングは、作家にとってもまた観者にとっても共有の考えるスペースであり、作品が持つもうひとつの働きを探す問いかけでもあるはずです。