Night Falls: チェン・ウェイ
オオタファインアーツでは、中国人作家チェン・ウェイの個展「Night Falls」を開催いたします。本展では、画廊空間全体にLED掲示板を用いた立体作品が配置され、様々な色の光を放ちます。絶え間なくリズミカルに動き続ける光の波は、チェンの独特な世界観へと鑑賞者を誘います。
チェンのLED掲示板を用いた作品シリーズは2015年より始まり、商業広告に溢れた中国社会の一面を示すとともに、よりよい生活を約束するような謳い文句は人々の儚い希望や夢を表し、多くの鑑賞者を魅了してきました。今回の新作では、掲示板上に「Where are you going tonight?」との問いかけが時折出現します。チェンは、夜という時間に興味を持ってきたと言います。情報社会が深化する中で、人々は時間を問わず他人とつながることができます。しかしながら、夜は孤独をもたらし、一体この長い時間を皆どう過ごしているのかというチェンは考えるようになりました。上記の問いかけは、若者同士が遊びに行く先を考えている楽しい一幕のようにも聞こえますが、今宵どこに自分が向かっていくかも分からない不安な感覚をも示しているようです。
10点の立体作品は、全体として夜の都市風景のようにも見えます。LED掲示板は大都市にそびえたつビル群のようであり、異なる角度から見て楽しむことを許すでしょう。暗闇を照らす光は、大都市に生きる人々の疎外感を暗示しているようでもあります。
チェンは作家としてのキャリアの初期から写真を主な表現媒体として用い、多彩な写真技法で知られてきました。スタジオでまず模型を自身で組み立て写真に収めるという手法を貫いてきたチェンにとって、立体作品を使ったインスタレーションの表現は今までの表現の集積、発展と言えるでしょう。21世紀の都市風景、またそこに住む人々に関心を寄せてきたチェンの最新の表現を、どうぞご高覧いただければ幸いです。