Biography

クリス・ヒュン・シンカンは、自身の家族や身の回りの風景をおもに描いたペイティングを制作することで、「見る」という行為を通して人はどのように物事を理解するのかに焦点を当ててきました。

 

彼の技法は、水墨画の影響から抑えられた筆使いでモチーフを描くことに特徴づけられます。記憶を頼りに描かれたモチーフはどこかおぼろげですが、そこには独特の時間と空間の捉え方が見て取れます。ヒュンの作品には「認識する」ということが時間と空間を経て変化していくことが示唆されており、キャンバスに残された白い余白は忘れられた記憶を表現していると言えるでしょう。彼の作品に見られる立体感のねじれや異なる濃淡で表される光のコントラストは、一日の移ろいを複眼的に描写しているかのようで見る者を強く惹きつけます。

[クリス・ヒュン・シンカン] 1991年、香港生まれ。現在はロンドンを拠点に活動。ヒュンの近年の展覧会に「Next Door」Yuz美術館(上海、2023年)、「Artist-in-Residence Programme and Exhibition: Chris Huen Sin Kan」Royal Academy of Arts(ロンドン、2022年)、「タイ・ビエンナーレ・コラート2021」Rajamangala University of Technology Isan(コラート、2021-22年)、「Biennial of Painting – Inner Spaces」Dhondt-Dhaenens美術館(シント=マルテンス=ラーテム[ベルギー]、2020年)。主な所蔵先にArt Gallery of New South Wales(シドニー)、Institute of Contemporary Art(マイアミ)、Kadist Art Foundation(パリ / サンフランシスコ)。

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